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「稼ぐまちが地方を変える」を読んでみた感想

木下斉さんの著作です。

今期読んだ中ではベスト3に入る良書です。

地方活性・町づくりに興味がある人は是非Amazonで購入してみてください。

 

 

この本の何がすごいのか?

私が読んでいて勉強になった点は以下の3つです。

  1. 地方活性
  2. 収益性
  3. 補助金

 

地方活性と聞くと、スケールの大きい自分とは関係のない事柄のひとつだと思っていました。

「お国がやってくれるもの」

まさにそういうイメージでした。

けれども、皆さん実感があるようにお国が関与して成功した地域活性の事例ご存知ですか?

イメージしてください、自分が生まれ育った地元のこと。

だいたいは、良く分からない大型の施設を建設していて、黒字なのか?赤字なのか?良く分からない、気がつけば閑古鳥が鳴っているような施設。

この記事を読んでいる方々の地元にありませんか、こういう施設。

ちなみに、私の地元にもたくさんあります。

収益性を考えない(当人達は勿論熟慮しているはずですが)採算度外視の施設。

こういった施設が何故毎度毎度、自分たちが知らない間にボンボコ建設されるのか。

何故似たような施設が判で押したようにボンボコ建設されるのか。

 

 

答えは簡単です。

「国民、市民から徴収した税金から賄われる」からです。

民間の場合はどうでしょうか。

ほぼ100%予算という制限がついて回ります。それもかなりシビアな問題として。

そこが最も違う点と言っても過言ではありません。

予算が極度に限られているということは、その範囲内でのできることをシビアに考えることです。

収益性を考えることは、お国主導か民間主導かでは大した差はありません。

費用もしくはコストの制約性という影響をモロにくらっているかどうかが決定的に違うのです。

 

会計学にはこういう原則があります。

「費用収益対応の原則」

なぜ費用がかかると思いますか?

なぜコストをかけると思いますか?

それはもちろん、費用がかかった分もしくはコストをかけた分収益を獲得したいからです。

収益を生み出すために私達は費用・コストを投じるのです。

見返りを求めずジャブジャブお金を使うことは、費用・コストとは呼びません。

そこには何も利益が生まれないからです。

 

予算という投じられる費用・コストによって得られる利益が決定され、逆に予想される収益によって費用・コストが決まります。

収益と費用はまるで相互にバランスをとるように作用しあっているのです。

民間の場合と公的の場合、それでは何が違うのか?

これら収益と費用の相互作用の結びつきの度合いと言っても良いかもしれません。

民間の場合は、予測される収益に対応する適切な費用・コスト分しかかけたくないという強いインセンティブが働きやすいと言えるのです。

 

公的の場合どうでしょう。色々批判があるかもしれませんが、私は「収益」よりも「理念」等が重視されているように感じます。

「自然との共生」などといった理念を実現させるために、費用・コストをかける。

そこに収益は介在しません。だから、まったくもって収益性のない莫大な費用だけが毎年かさむゴミが生じるのです。

今、流行りの空き家問題と酷似しているかもしれません。

売りたくても売れない、買い手がつかない土地。お国が引き取ってもくれないような土地。毎年毎年、固定資産という費用・コストだけがかかります。

全国にはそういう費用・コストだけがかかるモノが大量に蓄積していっています。

木下斉さんも確か本書の中で、そういった、地方に存在する無用な建築部の事を「墓場」のように表現していた箇所があったと思います。

ボクシングでいうボディブローのように、それらが地方の体力を徐々に奪っていてもはや限界とも言えるような局面に達しているのです。

第二の夕張のような地域がいつ大量発生するのか、時間の問題かもしれません。

 

では、ここである人は考えるかもしれません。

「じゃ、収益をしっかり生み出している事業等に補助金を投入すればその地域の活性化を促進するのではないでしょうか?」

仰る通りです。

私自身もそう思っていました。

けど、実際は違うのです。補助金を投入すれば投入するほど収益性を生んでいた事業は上手く回らなくなるのです。

木下斉さんは、ご自身の経験をもとにその点について言及しています。

詳しくは本書をご覧になってください。

 

ここからは、補足です。

さきに「費用収益対応の原則」について説明しました。

ここでは新たに「収益逓増及び逓減の法則」というものを説明したいと思います。

今、費用が50万円かかって利益が100万円生まれる事業があります。

ここにさらに50万円追加したとします。その場合利益が200万円になると思いますか?

考えるべきはそこだと思っています。

確かにある一定額の費用をかけていけば、その分の増益が見込めます。

けれども、ある段階で収益は頭打ちになります。それ以降は費用・コストだけがかさむようになります。

これを、「収益逓増及び逓減の法則」と言います。

事業規模がたかだか100万円しか生まないようなものに補助金で500万、1000万のような大金を投じたらどうなるでしょうか。

無用な費用・コストだけがかかるようになります。

 

これは、先に話した「費用収益対応の原則」と似ています。

かける費用と収益は適正な額を対応させる必要があるのです(本来の意味は、会計処理上費用と収益の時期を対応させるということなので悪しからず)

ヒトはどうしても一旦ぬるま湯に慣れてしまうと味をしめてそこからは抜け出せなくなるのです。

本書でもこのような事が書いてありました。「補助金という麻薬」

まさにその通りだなと思います。

これによって、地方はどんどん補助金に依存するのです。

そして、「補助金額が少ないから地方が活性しないのだ」という論理のすり替えが行われます。

こうやって、どんどん市民の血税を浪費した結果、地方は衰退してとてつもなく厳しい局面を迎えていると、木下斉さんは指摘しています。

 

”じゃ、どうしたら良いんだよ?”

そう疑問に思った方は本書を手に取ってみてください。学びがあると思います。