RとPythonで医学統計

RとPython初心者医学生

医学生は正しく臨床推論できているのか?

推論には2つのタイプがあります

  1. 演繹法推論
  2. 帰納法推論

です。

帰納法は高校数学の証明問題でおなじみですよね。

 

論理学の本を読めばわかると思いますが、

演繹法の場合>

前提が真ならば、結論は真

帰納法の場合>

前提が真であっても、結論が真であるとは限らない

 

演繹法帰納法を合わせて、結論を出すのが一般的と言われています。

演繹法帰納法の一番のポイントと言えば

「論理の飛躍が起こるかどうか」

これに尽きると思っています。

三段論法といった典型的な演繹推論だと論理の飛躍は起こりませんが、帰納法推論だと起こります。

  1. 「昨日あの人の服からタバコの匂いがした」
  2. 「今日もあの人の服からタバコの匂いがした」

あの人は喫煙者だ

と結論づけたとします。

これには「論理の飛躍」があります。

”あの人”はたまたま人混みの中で喫煙者の側を通る匂いが付いただけだったかもしれないからです。

帰納法推論だと「より確からしい」ことになっても程度の差こそあれ、「論理の飛躍」があります。

多くの人が妥当だと思える程度になって初めて、帰納法推論は妥当な推論となりえます。

  1. 「昨日あの人の服からタバコの匂いがした」
  2. 「今日もあの人の服からタバコの匂いがした」
  3. 「あの人は男だ」

女性よりも男性の方がタバコを吸っているイメージがあって追加してみましたが、これでもまだ推論としては微妙かもしれないです。

もう少し加えてみると、

  1. 「昨日あの人の服からタバコの匂いがした」
  2. 「今日もあの人の服からタバコの匂いがした」
  3. 「あの人は男だ」
  4. 「あの人の手からタバコの匂いがした」

こうすると妥当な推論に近づいた気がします。

 

自分たちが普段解いている国試orCBTの問題も帰納法推論です。

24代女性、結婚できるか急に不安になり来院

現病歴:

これまで比較的元気だったが、急にぼんやりしたりうとうとすることが多くなった。2、3日前から胃の調子が悪い

既往歴:

現症:

検査所見:RBC,Hb,Ht,WBC,Plt,Pt,Na,K・・・

みたいな問題に対して、

ヘモグロビンが低下している」

→鉄欠なのか出血性なのか?

といった大前提を導きだし、「今回の症例では妥当かどうか」を判断しているに過ぎません。

「キーワード診断は良くない」と先生方から言われた経験は少なからずあると思いますが、それは「ヒューリスティック」の問題を孕んでいるからだと思っています。

naruyama0627.com

上記のサイトから「ヒューリスティック」の説明を引用しますと、

代表性ヒューリスティックとは?

 

また、心理学的観点から見た、ヒューリスティックの種類として、代表性ヒューリスティックというものがありますが、例えば、ある事件が発生した場合、その発生確率について、その事件に典型的な特徴を持っている内容に対し、過剰に反応してしまう性質もあるのです。

例えば、ある器物破損の事件が発生したとしますが、その犯人が、サラリーマンと暴力団風の人だったら、ほとんどの人は、この事件の犯人として、暴力団風の人を選択すると思います。

しかし、よく考えてみると、暴力団風の人より、サラリーマンの方が圧倒的に多いわけで、本当なら、サラリーマンが犯人である確率が高いはずなのに、暴力団風の人のほうが、その特徴から、犯人であるという疑いをかけられやすくなるのです。

利用可能ヒューリスティックとは?

 

利用可能ヒューリスティックとは、頭に思い浮かべやすかったり、目立ちやすい手がかりを利用する傾向があることを言います。

例えば、あなたでしたら、エコカーを多く発表し、地球環境面に配慮した自動車メーカーは、トヨタと日産のどちら?と聞かれた場合、どのように答えるでしょうか?

これについても、色々と意見はあると思いますが、多くの人は、ハイブリッドカーの先駆けであり、人気車種である、トヨタプリウスを思い浮かべると思いまのすので、日産よりトヨタと回答するのではないでしょうか?

 

  • 数日前に牛肉を食べた
  • 手足のしびれ

と聞けばたいていの医学生は、

”牛肉→カンピロ”

”カンピロ→手足のしびれ→ギランバレー”

を想起する方が多いと思います。

例え疾患が別の疾患だったとしても、この人がGBSになるように推論を展開していってしまう可能性が高くなるということです。

 

正しく推論するためには、そもそも推論の形式が妥当かどうかもさることながらこういったヒューリスティックなどの問題も頭に入れた上で

”自分の推論が妥当なのか常に考える癖をつける”

といったありきたりな答えが最も妥当なのではないでしょうか。

(臨床推論系の専門書でズバッと答えが書いてあったら教えて欲しい)