医学生が株投資の際に押さえるべき特別損失の評価切り下げによる財務会計効果

 

東芝の特損問題とは?

東芝が7000億円の特別損失を計上したことは記憶に新しいと思います。ニュースでも大体的に取り上げていたと思いますし、とりあえず「東芝ヤバイよ!ヤバイよ!」なのは知っているものと思います。

 

会計処理における「特別損失」とは

会計上において「特別損失」とは

「天災等によって、企業の資産に巨額の損失が生じた場合、当該資産の評価切り下げによって生じた評価損失は、損益計算上特別損失として計上される」

とされています。

 

今回、東芝が特損を計上したのは原発関連事業を行う子会社のウェスティングハウスが買収したS&Wの資産が減少したことを理由にしています。

 

特別損失としてどのように評価するのか?という会計上の処理について、今回の記事では細かく言及しませんが、これは会計基準によって異なります。

 

決算書等の財務省表の作成ルールは国よって異なることをまず理解する必要があります。

 

①日本の会社は基本的に日本の会計基準に従って財務諸表が作成されています

②アメリカの会社は基本的に米国会計基準にしたがって作成されています。

③ヨーロッパなどはIFRSという国際会計基準をもとに財務諸表が作成されています。

 

日本でも大企業などはIFRSを採用している企業が増えています。実際に、決算短信有価証券報告書などを見れば、どの会計基準に従って財務諸表が作成されているのかわかります。

 

会計学の知識がないと株式投資ファンダメンタル分析ができない

株式投資においては、戦略としてファンダメンタルズ分析とテクニカル分析のふたつがあります。

ファンダメンタルズ分析を行いたいのであれば、会計学の知識は必須となります。

それは決算書等の財務諸表分析ができないためです。

各国において、どういったルールで財務諸表を作成しているのかを理解しないと間違った結論を導いてしまいます。

医学生や医者などの医療関係者の人が、統計学の原理原則を理解していないと誤った結論を導いてしまうのと似ています。

どうやって、治癒成績を比較し評価しているのか等、統計手法を理解する必要があるのと同じです。

ただ単にp-valueの値だけに注目してはダメなように、研究デザインやアウトカムなども評価できるようにしないといけないんですね。

 

財務諸表の読むためには?

株投資を始めるにあたり、決算書などの財務諸表を読みたい!という方は「一番優しい財務諸表の読み方」がおすすめです。

 

ちなみにですが、日本の特別損失計上のルールは保守的であり、よほどのことがない限り計上しません。

ですので、日本の会計基準で特別損失が計上される場合は、ほぼ確実に資産価値が減少していると考えて良いです。

IFRSでは日本よりも緩いため割と特別損失計上が発生するという特徴があります。

 

評価切り下げによる財務会計効果

 評価切り下げを行った際の財務会計効果ですが

①償却性資産

②非償却性資産

のそれぞれで効果が異なります。

 

固定設備などの償却資産を当期に評価損失計上した場合、「次期以降は減価償却費が減少する」ということになります。このため

①損失計上した年度においては期間利益は小さく計上される

②次期以降の年度においては減価償却費の減少により期間利益が大きく計上される

という特徴があります。

 

これに似たようなことは、カルロス・ゴーンさんが日産の経営を立て直すときに行った手法と似ています。

経営改善を行った年度に、リストラなどの大規模な損失を計上しておくと次年度以降に費用のスリム化の恩恵を受けるため、期間利益としてはよりV字回復しているように見えるというマジックです。

カルロス・ゴーンさんの日産における経営手法も大変素晴らしいので一度書籍を眺めておくのをオススメします。

 

 

 

次に、土地などの非償却性資産についてです。

そもそも土地などの非償却性資産においては「減価償却」という概念がありません。

パソコンは購入した後、経年劣化するのは感覚的にも理解できるが、土地などが経年劣化するなどは基本的に考えられないからです。

このことから、償却性資産と違って期間利益が当期と次年度において何か変化するというのはありません。

「当該非償却資産が企業外部に売却されて売却損益の計算が行われる」時点です。

 

あくまでも、評価切り下げを行った年度の期間利益が小さく計上されるだけで、その後の保有中期間の期間利益は変わりません。

 

こういった違いはありますが、売却されるまでの期間全体でみた場合は全体損益は変わりません。

期間利益の各年度への配分変化に過ぎません。

固定設備や土地など償却性、非償却性資産にかかわらず資産売却までの期間全体では「損益は等しくなる」という特徴があります。

 

単年度の決算書を眺めて、「利益が増加している!買いだ!」なんてことはせず、期間利益がどういった理由で変化しているのか見るクセを身に着けていきたいですね。