「臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意」を読んでみた

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はじめに

「臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意」を読みました。

 「周りの人が協力してくれないので研究が進まないのです」という悩みを聞くことがあります。しかし、このように他力本願では基本的に臨床研究は前に進みません。「協力してくれればラッキーで、誰も協力してくれなければ全部自分でやる」というくらいの気持ちがなければ、多忙を極める日本の臨床現場で、研究を前に進めることはなかなかできないでしょう。

引用:本文P16

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他人に依存してしまうと、だいたいそこがボトルネックになってしまいます。

医者になったら忙しすぎて統計学の勉強やプログラミングの勉強をバリバリすることは基本的に不可能な気がします。

特に初期研修医の時に新しいことを勉強しようと思っても無理ですよね、多分。

「出世がしたい!」など動機はなんだって良いと思いますが、将来を見据えて医学生の段階から勉強を始めておくのがベストだと思っています。

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 結局、医師になってから圧倒的スピードで差をつけたいと思ったら

他人依存せず、自分1人で基本的に何もかもできるスキルを早い段階で身につけておく

 ことが必要なんだと思っています。

臨床研究を行って論文化するには何のスキルが重要なのか?

それらを細分化して1つずつ考えていきたいと思います。

 

臨床研究を行う手順を頭に入れる

原正彦先生の「臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意」で書かれていた臨床研究を行う手順は以下の通りです。

  1. 課題を設定する
  2. 研究をデザインする
  3. データを集める
  4. データを評価する

引用:本文P26

原正彦先生の本を参考にしながら自分なりに少しアレンジすると臨床研究を行う手順は5つの手順に分けた方が分かりやすいかなと思いました。

それぞれのフェーズにおいてどんなスキルが必要なのか考えていき、フェーズごとで求められるスキルを意識して身につける必要があります。

  1. 課題の抽出
  2. 研究をデザインする
  3. 倫理審査委員会に必要書類を提出する
  4. データ収集を行う
  5. データ解析を行う

 

課題の抽出方法

最初のステップです。

普段の診療で疑問に思ったことをとりあえずリスト化していきます。

いきなり課題をバシバシリストかしていくのは無理だと思うので、自分ならEvernote等に普段からクリニカルクエスチョンとしてノートを作成したいて方が良いかなと思いました。

リスト化しただけでは意味がないので、この中から臨床研究上有益なものを選定していく必要があり、こちらの方が重要になってくると思います。

臨床研究上重要かどうかの判断には、その根拠が必要になります。

そのため普段からPubMed等で情報収集することが必要になるかと思います。

 普段からやっておきたいこと

Evernoteでクリニカルクエスチョンのリスト化

PubMed等で先行研究ではどうなっているのか調べ比較した形式でまとめておく

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原正彦先生の本で参考になったのは上記の方法に加えてガイドラインを参考にする」ということです。

ガイドラインには、どの領域でエビデンスがあって、どの領域にエビデンスがないのか明記されていることが多いです。(中略)

そこで、まだエビデンスが明らかでない領域をターゲットにすれば研究をする意義がでてくると思います。

引用:本文P29

 ガイドラインを有効に活用できるように日頃から目を通すことが重要なんですね。

PubMed等で調べた論文とクリニカルクエスチョンをどのように対比させてEvernoteにまとめていくか?

ただ闇雲に論文を読んで調べて...何かしていたら時間が半端なくかかるのである程度のフレームワークに落とし込む必要があります。

原正彦先生の本にはそのヒントになる方法が書いてあったので本文から引用します。

その論文でカバーしきれていない範囲をターゲットとすれば、そのデータを集めることに非常に意味が出てくるわけです。その研究論文のエントリー段階で除外されているような高齢患者や、合併症のある患者群をターゲットにするということです。

引用:本文P29

 このポイントを押さえておけば、長い論文でもどの部分に着目して集中的に読み込んでいくべきか分かりやすいですね。

では、次にこのフェーズで求められるスキルについて考えていきます。

課題の抽出をするのに必要なスキル
  1. PubMed等で知りたい情報を適切に検索できるスキル
  2. Mendeley等で文献管理できるスキル
  3. Webスクレイピングのスキル

Mendeleyについては下記の動画を参考にしてください。

youtu.be引用元:

Mendeley: 無料の文献管理ツール & 研究者ネットワーク | Elsevier

Mendeleyの使い方については書籍もありますのでそちらの方も参考にするのも良いと思います。

文献管理ツール Mendeley ガイドブック

文献管理ツール Mendeley ガイドブック

 

 Webスクレイピング技術については過去記事を参考にしてください。

簡単に言うと、Web上で必要な情報だけを抜き取ってくる技術です。

Pythonやターミナルコマンド、HTML/CSSの知識が必要になってくるので学生の時からプログラミングの勉強をやって方が良いのではないでしょうか。

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研究をデザインする

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研究デザインは臨床試験登録サイトUMINのフォーマットが参考になると思います。

これらは"PICO/PECO"を意識して作成されているからです。

PICO/PECOの概念は医学論文を読む際にも大切です。

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オオサンショウウオ先生の医療統計セミナー」の最初の授業で扱われるぐらい常識的な概念です。論文読解レベルをアップさせたい方はぜひチェックしましょう。

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初学者が行うべき単一施設で行える研究デザインはコレ!

”2群比較の後ろ向き観察研究”

原正彦先生の本から引用しますと

(中略)

さらに言うと、新規に患者さんをエントリーして今を起点として将来にわたってデータを取得していく前向き(prospective)研究ではなく、過去に遡って既にカルテに記載のあるデータを取得していく後ろ向き(retrospective)観察研究がより初学者向けです

引用:本文P41

 これらを参考に臨床研究をデザインしていきます。

 

研究デザインを行うのに必要なスキル
  1. PICO/PECOの概念に沿ってフォーマットを作成するスキル
  2. 臨床試験登録サイトUMINやPubMed等の論文からPICO/PECOの情報だけを抜き取ってくるWebスクレイピングのスキル
  3. 先行研究で使用されている統計手法を行うスキル

の3点になるかと思います。

 

残りのステップについては暇があれば有料Noteにでもまとめたいと思っています。

RやPythonを用いた具体的なデータ収集方法・統計解析方法などを解説記事にしたいですね。

 

最後に

学会発表と論文発表の間にはアカデミックなクオリティーに月とスッポンほどの歴然とした差があります。「論文は持っていないが発表はたくさんしてきた」という主張は、普通に考えるとクオリティーの低い仕事しかできないことを証明していることが多いのです。

引用:本文P107

耳が痛くなる言葉ですが、しっかり自分の胸に刻み込んでいきたい言葉ですね。

 

終わり。

 

 

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