医学生が開業医になるメリットを勉強してみた

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はじめに

開業医になったら本当に儲かるのか?

これは気になりますよね。

ウハクリ(ウハウハクリニック)ツブクリ(潰れそうなクリニック)なんて言葉もツイッターで見かけます。

安易な儲け話に乗ってカモにされないためにも会計・法律・税金知識は必須です。

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医学生のうちに正しい基礎知識を身につけておけば、いざ独立しようと思った時に安心ですし、開業コンサルの口車に乗せられる心配もありません。

また「開業はもはや儲からないよ」と言ってくる同僚や上司を自信を持って無視できるようになります。

 

医師のための節税読本【院長が知っておくべき税務対策のすべて】

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病院経営の前に知っておくべき基本知識!

各論に入る前に、総論を押さえておく必要があります。

まずは用語の定義から!

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病院】

患者20人以上の入院施設を有するもの

 

【診療所】

患者の入院施設を有しないもの、または患者19人以下の入院施設を有するもの

 

【医育機関】

 学校教育法に基づく大学等において、医学または歯学の教育を行う機関をいう

 

診療科別の医師数を頭に入れておく!

厚労省のホームページに行くと確認できます。

「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」

から「診療科別の医師数」を確認できます。

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データを開くとこのようになっています。

このままだと見にくいためPythonを使ってグラフを作成してみます。

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医師数年次推移も確認する!

コチラも平成28(2016年)「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」

から分かります。

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エクセルデータにグラフも載っているんですけど、Pythonを使って自分でグラフを作成してみます。

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キレイに単調増加していることが分かります。

 

 施設の種別にみた医師数の年次推移も確認する! 

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医師数自体が年々増加しているので、コチラのほうも全体的に増加傾向を示すのは当たり前ですね。

診療所も増加していますが、思っている以上に増加率は高くないみたいです。

 

都道府県別の医師数を確認する!

コチラも同じよう資料から確認できます。正確な名前は

都道府県別にみた医療施設に従事する人口10万対医師数」

です。

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クリニックを開業するなら、もちろん同業他社が少ない場所の方が圧倒的に勝つ確率が高いです。

ご自身が開業される予定の場所の医師数がどうなっているのか、当該診療科医師数がどうなっているのかは最低限チェックする必要があると思います。


 

 

 

【個人クリニック編】

 

青色申告すると節税対策をすることができる!

確定申告には白色申告と青色申告というものがあります。

個人事業主として開業した際に「開業届出書」との他に「青色申告承認申請書」というものを出せば特典が使えるようになります。

 

青色申告とはナニか?

青色申告とは、単式簿記ではなく複式簿記にもとづいて取引を帳簿に記録し、その記録をもとに所得税を計算して申告することのことです。

ちなみに、青色申告以外の申告は白色申告となります。

日本の所得税は、税法に従って自ら所得金額と税額を正しく計算し納税する「申告納税制度」を採用しています。

青色申告は帳簿を作成しその帳簿記録に基づいて正しく申告するということなので、所得金額の計算上、有利な特典が受けられるというワケなんです。

 

青色申告には要件がある

要件は次のとおりです。

  1. 不動産所得・事業所得・山林所得があるヒト
    自分はファイナンシャルプランナーの勉強していた時に「富士山は青い」で覚えました
  2. 青色申告承認申請書」を税務署に提出していること
  3. 一定の帳簿書類を備え、取引を適正に記録・保存(保存期間は7年)していること

の3要件があります。

青色申告をする場合には、青色申告しようとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出必要があり忘れないようにしましょう。

ちなみに、1月16日以降に開業するヒトは開業日から2ヶ月以内です。

この青色申告承認申請書を受けて、税務署が承認・却下の通知をだします。

12月31日までに通知がない場合に申告が承認されたものとみなします。

  

帳簿書類の保存に関してですが、現金出納帳・売掛帳・買掛帳・固定資産台帳のような帳簿を備え付け簡易な記帳を行うことでも認められるみたいです。

 

青色申告の特典

以下のような特典があります。

  1. 青色申告特別控除
    【65万円控除】
    事業規模の不動産所得(貸家なら5棟以上・アパートなら10室以上)または事業所得があるヒトが、正規の簿記の原則にもとづいて作成されたB/S・P/Lを添付した場合
    【10万円控除】
    上記以外の場合です。
  2. 青色事業専従者給与の必要経費の算入
    青色申告者が青色事業専従者に支払った給与のうち適正な金額は必要経費に算入できる。青色事業専従者とは青色申告者とは生計を一にする親族で事業に専従しているヒトのことです。
    【手続き】
    「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要
    【給与要件】
    「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載した金額の範囲内の給与であること
  3. 純損失の繰越控除・還付
    青色申告者は純損失が生じた場合に、その純損失を翌年以降3年間にわたって、各年の所得から控除することができる
    前年も青色申告しているなら、損失額を前年の所得から控除し前年分の所得税の還付をうけることが可能
  4. 貸倒引当金
    事業上で生じた売掛金・貸付金等の貸倒れによる損失の見込み額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を必要経費に参入することができる
  5. 中小企業者等の少額減価償却資産
    取得価額が30万円未満で、中小企業者等の少額減価償却資産としての処理を選択したものは、一定の要件を満たせばその金額を支出時の経費に算入できる。ただし、その年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円までが限度となる
 青色申告の取り消し

以下の事項に該当した場合、青色申告が取り 消される可能性がありますので気をつけてください。

  1. 税務職員から帳簿書類の提示を求められた時に、正当な理由がなくその提示をしなかった場合
    税務署からの求めは数回に及びますが、いずれの際でも拒否した場合、提示しなかった事業年度のうち最も古い事業年度以後の事業年度について取り消されます。
  2. 二期連続で申告書を期限内(2月16日から3月15日)に提出しなかった場合
    無申告の他に期限後申告も該当します。
  3. 帳簿の備え付けなどに関して、税務署から指示を受けたにもかかわらずその指示に従わなかった場合
    当たり前ですね()
  4. 税務調査において、隠蔽・不正が行われた場合
    期限後申告により「決定」された

奥さんを雇い給料を支払う形にすれば給料を経費計上することができる!

これは割と有名な話ですよね。

事業を営む個人が生計を一にする妻や夫、子ども等の親族に対して支払った給与は原則として必要経費に算入することは認められていません。

この「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していれば親族への給与を必要経費に算入することができるという仕掛けです。

ただし、これを適用するためには要件があるので注意してくださいね。

 

青色事業専従者給与を支給できる親族の範囲
  • 青色申告者と生計を同一にする親族であること
  • 年齢が15歳以上である者
  • 学生でないこと(夜間学生等を除く)
  • 青色申告者の事業に6ヶ月を超える期間専従していること
  • 老衰・心身の障害により従事する能力が著しく阻害されていないこと 

があります。このあたりは開業する際に税務署に聞けば大丈夫だと思います。

 

「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載する金額

届出に記載する金額は以下の状況に照らしその労務の対価として相当であると認められる金額でなければならいので注意が必要です。

  1. その労務に従事する期間
  2. 労務の性質及びその提供の程度
  3. その事業の種類及び規模
  4. その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況
  5. その事業に従事する他の使用人が支払いを受ける給与の状況及びその事業と同種の事業でその規模が類似するものに従事するものが支払いを受ける給与の状況
  6. その他の事業の収益の状況

抽象的で何いっているか良くわからないので、これもちゃんと税務署に聞きに行きましょう。

青色事業専従者給与の金額が適正かどうかは、税務調査における聞き取りなどによって適正かどうかの判定が行われます。どんぶり勘定はダメなので、慎重に検討しましょう。

クリニックの売り上げ、奥さんが働いた時間と仕事内容、看護師や他の職員さんの給料と比較する必要があります。

奥さんが医療に関連する資格を持っていなく、総務・経理・給与計算などをやっているだけであれば年間800万円程度が上限になるみたいです。

 

「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出期間

青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2ヶ月以内)に提出する必要があります。

3月15日っていうのは確定申告の最終日ですね。

 

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「青色事業専従者給与」の届出は1度提出すれば毎年自動的に更新されます。

しかし、奥さんの給料を増額する場合はその変更された給料を支払う前までに税務署に変更届出書を出す必要があるので注意してください。

年度の途中で「奥さんの給料を増えそう」なんて思っても増やせません。

奥さんの仕事内容を変更した時や給与基準を変更した場合に限り増額したりすることが可能になります。

 

生計を一にしていない子どもに支払った給料は白色申告・青色申告に関係なく経費することができます。

「生計を一」とは生活共同体で通常などを区別せずに使用している状態のことです。

同居していても通帳が別なら「生計を一」になりません。

 

そもそも奥さんを雇って給与を経費計上することのメリットは?

「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、奥さんにお給料を支払ったら個人クリニックによる事業所得から支給した分の額を引くことができます。

 

事業所得は減るんだけど、奥さんに支払った給料は給与所得に該当するから奥さんに対してはもちろん所得税がかかるよ

 

 

個人事業主の課税所得よりも奥さんの課税所得が低ければ、そこに税率差が生じることに加え給与所得控除や所得控除の適用により所得税・住民税の総額が減ることになり節税になります

 

 

 

税金の仕組みを理解する

基本的には

所得 = 収入 ー 経費

で計算されます。

所得は10種類に分けられ、それぞれの所得をまずは個別に計算しその後合算して税額を算出する方式を取っています。

課税所得の計算には「総合課税」と「分離課税」があり、分離課税には「譲渡所得・退職所得・雑所得」が該当します。

不動産売買による所得や株式売却での利益は「分離課税」に該当し、あくまですべての所得と合算して税金の額を決めるのではなく、個別の所得に対して税額が決まるということです。

所得の計算方法を理解したところで、今後は所得税の計算方法をみていきたいと思います。

課税所得 = 課税される所得金額 ー 所得控除

 

所得控除の額については下の表のようになります。

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

 

この「課税所得」に税率をかけることで「所得税」が算出されます。

所得税 = 課税所得 × 税率

これで所得税が決まるのですが、これはあくまでも「納付前の所得税」でここからさらに「税額控除」というものを引いていき、「実際に納付する所得税」が決まります。

 

実際に納付する所得税 = 所得税 − 税額控除

 

税額控除の主なものを知りたい方は国税庁のホームページをご覧ください。

No.1200 税額控除|国税庁

 

ほとんどの人が病院からお給料を貰うと思いますので、次に「給与所得」について説明します。

サラリーマンなどの給与所得者に関しては「経費」の部分に対して「給与所得控除」が適用されます。

日本は累進課税制度を採用しているため、所得の多寡に応じて税率が異なります。

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No.1410 給与所得控除|国税庁

 

ぜひ参考にしてみてください。

終わり。

 

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